「セーブー・・いい加減やめようよー」
「断る」

一年に一度開かれるハロウィンパーティーのこの良き日に、よくもまぁそんな淋しい言葉をくれるものだ。



alone with you



わたしはむぅと頬を膨らませ、やり場のない気持ちに地団駄を踏む。しかし何をしていようが、扉の前に立ち尽くすわたしに見向きもせず、セブは鍋を掻き回しているわけで。つれないにもほどがある彼に、わたしはどうすることもできなかった。
なんでも、魔法薬学の教員であるスラグホーンが今日一日地下牢教室を貸してくれたらしく、そのおかげでセブはずっとここで大鍋にかじりついているのだ。わたしはそれが気に入らなくて、何度もここから出るよう説得をしているのだけれど、やはりわたしが言うくらいじゃ、セブはここを離れてくれない。だかしかし今日はハロウィンだ。お祭だ。やっぱりセブと一緒に過ごしたい!そんな思いが捨て切れず、このずっと調子が続いていた。
わたしははぁーと長く溜息を吐き、再度セブに話しかける。

「せっかくのハロウィンだよっ?セブはお菓子いらないの?!」
「いらん」
「バカー!!」
「うるさい、帰れ」

声を荒げたわたしをちらりと見たのかと思えばぎろりと睨みつけ、セブはせっせと教科書を捲り出した。今更そんな睨みが怖いわけもなく、わたしはただ不満をセブに零し続けた。どうしてお菓子がいらないの、とかどうして行きたくないの、とか何で魔法薬なんか作りたいの、とか悪戯しちゃうぞ!とか。ちなみに最後の言葉を言った途端、すごい勢いで凍結呪文が飛んできた。もちろんぎりぎりで避けたけど。




「そもそも、そんなにパーティーに行きたいのなら一人で行けばいいだろう」

ようやく一息吐いて鍋から視線を外したセブはそう言い、わたしを一瞥した。呆れたような、困惑したような目だった。しかし、わたしは彼にそんな顔をしてほしいわけではない。がたっと椅子を引き寄せ、わたしは俯くようにして座った。

「だって、セブと一緒がいいんだもん・・・」

拗ねた幼子のように答えれば、案の定セブは苦く溜息を零していた。どうせわたしは子どもっぽくて我侭ですよー。悪かったですねー。
口には出さずに悔しさを噛み締めていると、ふいにセブがわたしの手をとった。

「へ?」

特に優しくも何ともない、酷く無造作な動作だった。セブはどこから取り出したのか、わたしの手にばらばらと飴やらチョコレートやらを握らせ、一度わたしの額を指で弾いた。これが結構痛い。
短く悲鳴を上げそうになったわたしから目を逸らし、セブはぽつりと呟いた。

「それで我慢できるならここにいろ。できないのならつまみ出す」

そっぽを向いて素っ気ない言葉を口にしたセブと、色とりどりのお菓子を交互に見つめ、わたしは嬉しさに頬を緩めた。
チョコレートの包みを一つだけ開けて、口に放り込む。口内に広がったほろ苦い甘さに満足しながら、わたしは鍋を見ているセブの背中に思いきり抱きついた。

「セブ大好きー!!」
「離れろ馬鹿!鍋が倒れる!」






...end 2009/11/01
(Happy Helloween!)